木田元『反哲学史』
しっかりと原書にあたった人の書いた哲学史。英独仏にラテン、ギリシア語の原書を自在に読みこなす哲学者は世界にもそうたくさんはいません。哲学事典に頼って書かれた通り一遍の哲学史とはものが違います。丹念に原書にあたり、研究書もくまなく読んできた人ならではの鋭い読みが随所に光っています。
理性によって存在の妙を解き明かし、技術によってコントロールしようとした西欧形而上学的な思考は、存在=自然の側からの、そして人間においては身体の側からの曰く言い難き力によって逆襲を受けてきました。
これは現代哲学の直面する課題にほかなりませんが、それはどうやら著者の『現代の哲学』に書かれているらしいので、それはまたそれで読むことにします。
哲学史というジャンルは今まで読んできた古典から現代までの哲学者の著作をあらためて一つのストーリー上に位置づけて、別の角度から光を当てて見せてくれるので、自分のこれまでの読み方が問い直されているということでもあって、スリリングで面白いのですが、本書ではそのおもしろさを十分に味わうことができます。
個人的には、シェリングやマルクスに対する評価の仕方に感心させられました。哲学者の著作から勘所をうまく抜き出してくれるその手際の良さにはつくづく感心させられます。
(講談社学術文庫2000年900円税別)
その過程を版哲学史としてとらえた著者の慧眼はさすがです。
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