大前研一『日本復興計画』
著者は今回の原発事故についての読みが識者のなかでも一番正確でしたが、本書は今年のあの3月11日以降の発言をまとめた本です。この間ずっとフォローしていたので、初めて読む話はありませんでしたが、こうしてまとめて読んでみると、あらためて原発事故についての著者の見通しが正確だったことがわかります。
さすがに原子炉の元設計者だっただけのことはありますが、単なる技術者にとどまらず、復興への総合的見通しを立てることができるのが、これまたすごいところです。優れた経営センスをもっているところが素敵です。
その著者をして「これで原子力の時代は終わった」と言わしめているのですから、やはりそうかと思ってしまいます。ちなみにこれはわが国の話です。フランスなんかはまだ原子力とその技術でこれからしこたまもうけようとしているでしょう。最近のニュースでは、あのアルバ社が汚染水の処理に1トン2億円をふっかけて、総額40兆円をせしめようとしているくらいですから。
それはそうと、経営というのは私企業のそれに留まらず、役人や政治家をひっくるめた行政・政治活動に要求される能力ですが、これがある人が実は少ないので困っているのです(というのは余談です。私の奉職先の大学経営の話です)。
これまであまり著者の本を読んでこなかったのは損失でした。今後は集中してフォローしていきたいと思います。
(文藝春秋2011年1143円+税)
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