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2011年7月 4日 (月)

養老孟司『養老訓』

機嫌のいい年寄りになる心得が書かれています。冒頭に著者の講演会で不機嫌で笑わない年寄りの話しが出てきますが、そういう人が実際いるんですよね。中には講演を聴く前からアンケートに悪口を書き始めたりする人もいます。しばらくして講師が抱腹絶倒の話をしたりすると、そんな話を最初にしないのはけしからんとか書いていたりするので、もう誰だかわかっちゃいます。あとでスタッフから地元で有名な暴走老人だと教えられたりします(これは私がある講演の司会者として目撃したことです)。

こういう人は手が付けられないのですが、本書ではそんな老人にならない方法が具体的に書かれています。著者は「私は年をとって良かったなとおもうことがたくさんあります」(184頁)と言います。また、「最近、大抵の人がみんなかわいく思えるようになってきました」(186頁)とも。

良い老い方だと思います。こだわりを捨てるとこんな好々爺の境地に入れるのかもしれません。

でも、それなりに著者は言いたいことは言っていて、現実と憲法があっていないからといって即座に憲法改正を叫ぶのも、護憲を叫ぶのもどちらも「憲法というものに縛られているという点では同じ」(164頁)とも見ていて、そうではなくて、現実に対処するときに両者よりも強い論理が必要となる状態のほうが、つまり、議論を重ねたほうがよいという立場を披露しています。

こういう大人の対応をちゃんと言える人は貴重です。たんなる好々爺だけでは終わっていません。こういう老人の意見に耳を傾けなければいけません。

(新潮文庫平成22年362円+税)

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