川上弘美『おめでとう』
読む度に不思議な小説世界に感心させられます。普通に起こりそうな人と人との心のつながりが、実にいい感じで描かれています。恋人や仲のいい友人と一緒にいると、相手の気持ちになってみたり、相手が乗り移った気持ちになってみたりと、いわばポストモダン的な感覚になることがありますが、そこんとこ、こんなふうに表現できるのですね。
ベタな不倫の関係も、おとぎ話ないしは怪奇譚の中での純愛も、気の合う女友達同士の友情も、みんな著者の小説世界にあっては、はかなくも切なく美しい一瞬を垣間見せてくれます。なるほど、純文学というのはこんなところに潜んでいたんですね。
解説によれば著者の作品はフランス語訳も出ているようです。この感覚はフランス人にはとりわけフィットするような気がします。
そういえば、日本の現代小説をハンガリー語訳している教え子がいるので、何かの機会に著者の作品を薦めてみます。
(文春文庫2007年400円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント