土屋賢二『人間は考えても無駄である ツチヤの変客万来』
爆笑の対談集です。いつもの鋭い突っ込みの助手なんかが出てきて、架空対談かと思いましたが、助手はともかく、少なくとも対談相手はどうやら実在の人物のようです。
確信が持てないのは、ボケとか突込みがみんなツチヤ流にすっとぼけて面白いためです。留学先で知り合った研究者とか、バンド仲間とか、同僚の先生とかが登場しますが、みんなほとんど悪ふざけに近いようなノリで和気藹々と楽しんでいます。
エッセーもそうですが、ここから何か得られることがあるのかというと、ないのかもしれません。でも、このアバウトなおおらかさととぼけ方が、悩まない生き方を示唆していて、いいです。ここから仏教的な悟りを得ることがあるとしたら、著者の功績かもしれませんが、それも笑いにすっかりかき消されてしまいそうです。
深い思想もこれくらい笑いに満たされていたら、もうわけがわからなくなります。著者恐るべし、です。
『ツチヤ教授の哲学講義』を読んで確認しようと思いつつ、まだその目的を果たせていません。しかし、いずれにしても結果として笑えるのはいいことですし、笑いを創造するのは、哲学で難しい顔をして見せるより、はるかに難しいことだと思います。
(講談社文庫2009年448円+税)
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