髙山正之『サンデルよ、「正義」を教えよう』
タイトルがいいですね。実際、サンデルの世界観が揺らぐどころか、根底から覆るようなことがたくさん書いてあります。本書の帯のコピーにあるように「権威」や「大家」に騙されないためにも読んでおくべき本だと思います。
著者はとにかく、きっちりと取材し、調べ、裏をとった上で書くというジャーナリストの基本を外さない人なので、怠惰で不勉強な「大家」たちは、権威の上にあぐらをかいているだけでなく、ときには大衆に迎合してつまらない嘘をついていることがばれてしまいます。
本書ではこぞって実名で登場するので、あの有名な大学教授や斯界の権威と言われる人が阿呆でおっちょこちょいなのはまだしも、ここまで小汚かったのかということまでしっかりわかります。
また、これまで多少はその悪い噂を耳にしていたマッカーサーやT.ルーズベルトも最高にえげつない人物だったことがわかりますし、在日特派員のトンデモ記事垂れ流しもしっかり示されています。
朝日新聞なんかは率先してこうした権威に迎合して世論を誘導しようとする魂胆がわかりやすいのですが、われわれがもっと普通に教科書的思い込みから間違っていることについては、なかなか気がつかないものです。
また、歴史的なややこしい事実の経緯も簡潔でわかりやすく書かれていて助かります。これが学者なら話を難しくするだけで終わってしまう人がいるところですが、さすがジャーナリストです。
本書はわれわれが世の中に対してついつい抱きがちな偏見をきっちり正してくれます。その点でとてもいいクスリになります。常備薬として置いておきたい本です。
(新潮社2011年1400円税別)
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