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2011年8月30日 (火)

高山正之『白い人が仕掛けた黒い罠』

これもすごい本でした。ショッキングな史実が満載です。いつも比較的短い連載記事で読んでいた史実が本書では文献情報とともに余裕をもって念入りに語られるので、今後の読書指南としても役立ってくれます。

本書では司馬遼太郎が結構槍玉に上がっています。司馬遼太郎は戦地でヘボな武器と戦車で戦わざるをえず死にそうになったことがあるため、旧日本軍に対して結構不当な難癖を付けるところがありますが、著者はそのあたりをきっちり批判していて説得力があります。

また、ルーズベルトやマッカーサーのえげつなさも本書では余すところなく描かれていて、ここまでいやな人間だったかと感動すら覚えるほどです。もちろん誰が書いても決してよく言われない辻政信のこともきっちりと押さえられています。それからお調子者の大学教授も、朝日新聞にとりあげられたいばっかりに史実を捏造していることが、本書でもまたより詳細に指摘されています。

また、本書では略奪と強姦についてのえげつない史実を改めて教えられました。どちらも伝統的に兵士の戦う動機というか目的そのものになってきた歴史が語られます。セルビアとクロアチアの民族浄化というのもこの伝統にのっとった所業だったのですね。これは目からウロコでした。

戦史はまだまだ本当のことが語られるまでには時間がかかります。あまりにも現代の国際情勢と政治力学に直結しているので、表に出せない情報だらけだからです。でも、確かに、今は刺激が強すぎて教科書に載せることはできないでしょうけれど、あと50年位したら本書に書かれていることもおそらく一般的に理解されるようになると思います。早めに知っておきたい人はどうぞ本書をお読みください。

(WAC2011年1400円+税)

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