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2011年8月23日 (火)

郷原信郎『「法令遵守」が日本を滅ぼす』

いいタイトルの本です。のっけから「日本は法治国家ではない」と来るので、拍手を送りたくなります。そうなんです。官僚の作る法令を墨守して形を取り繕うことだけが横行している現状を見ると、気がつく人は気がついているんですが、まさか長崎地検の次席検事までやった人がこういうことを言ってくれるとは思いませんでした。

ライブドア事件や村上ファンド事件、耐震強度偽装事件などのトピックが、本来の意味での法治国家であったらどう扱われるべきかという視点から語られます。マスコミの作り出す雰囲気に飲み込まれないためにも、ホリエモンなんかが嫌いだという気持ちはさておいて、著者の言うことには耳を傾けてみる価値があると思います。

また、予算中心主義的財政の欠陥を指摘する箇所はダメ企業にもそのまま通じる議論です。先進諸外国では「支出の適法性に加えて経済性、効率性、有効性も含めた決算審査を重視する傾向を強めています」(108頁)とあります。この方向で財政もきっちり事業評価をやっていけば、適正な予算配分にもつながって効果的だと思いますが、実際には各省庁がいかにズルをして予算をぶんどるかということしか頭になく、全体が傾いていきます。

って、これ、今どきのダメ会社もこのまんまですね。官僚化の弊害が民間にまで見事に及んでいるとうことでしょう。

(新潮選書2007年680円+税)

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