佐藤全弘『夕陽丘随想録』
著者の佐藤全弘先生からお贈りいただいた本です。だからというわけではありませんが、いい本です。私家版かと思いましたが、アマゾンとかで入手できますので、是非一家に一冊常備薬のようにお備えください。
折に触れて書かれた随想集ですが、大阪は船場の戦前戦後の様子や、軍事教練の思い出なども描かれていて、歴史資料としても貴重です。今どきめっきり聴く機会が少なくなってきた、ご隠居さんのためになる昔話という一面もあります。それにしても童話まで書かれていたとは知りませんでした。9編ありますが、御伽草子のような、あるいは仏教説話集のような味わいです。
佐藤先生は日本ではあまり多くないキリスト教思想家で、新渡戸稲造全集の編集にも携わっていらっしゃいます。内村鑑三、新渡戸稲造、宮部金吾の札幌農学校第二期生トリオについて語られるとき、ご本人の静かな、しかし熱い情熱が感じられます。本書の第5部の「キリスト新聞」に書かれた記事は特にそうです。
でも、全体に決して説教臭くない本です。そのあたりが先生らしいところだと思います。折にふれて読み返したい本です。
(新風書房2011年2000円税別)
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