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2011年8月21日 (日)

岡本吏郎『サラリーマンのためのお金サバイバル術』

副題に「家・車・保険、『人並み』な買い物が破滅を招く」とあり、著者の言いたいことの過半はこのことに尽きています。こうした人並みな買い物を大勢の人がしてくれることで、現代社会の富の収奪の仕組みが成り立っていることを、著者は説得的に述べています。著者はこれを「奴隷制度」とまで言っています。

確かにこうした商品に関しては、自分が現在払える以上の買い物をしていますもんね。サラリーマンは安定しているということにして、借金して投機商品(家)を買い、不安商品(生命保険)にやたらとお金をつぎ込みます。しかし、その理不尽さは著者が言うように、足し算引き算ができれば、すぐに理解できることです。

そこで著者がまずは提唱するのは、「収入よりも少ない支出で生活すればいい」(14頁)ということです。この当たり前のことが難しいのですが、著者は収入の3割を貯金することから始めなさいと、数字も根拠を挙げて具体的に手ほどきしてくれます。

余裕資金を貯めたら、次にそれを運用する際の具体的なアドバイスも忘れていません。そのあたりの具体的な話は(インデックス投資がいいとか)は、まずはお金を貯めてから考えることにするとします。育英会の奨学金もそろそろ返し終わりますし(家内のも含めて)、いずれ考えておかなければいけなくなるのは事実ですから。

著者はこの手の問題にはっきりと問題点を指摘することができる人なので、感心させられます。私がお金の問題にかなり疎いということを差し引いても、次のようなことをはっきりと言える専門家はそうはいないと思います。

「住宅政策というものが、国民の消費を糧にして、景気対策を行おうとした国の政策であるように、運用〔証券投資〕の奨励についても、国民が負うリスクを使った企業の活性化を国が考えたものです。国は国民一人一人の懐具合のことなんか考えていないのです」(151頁)

冷静かつ正確に数字を読むことで、こうしたことが言えるのはさすがです。

それはともかく、今後ますます自分でどうにかしなければいけない状況になってきそうです。サバイバル指南書として本書を活かしたいと思います。

(朝日新書2009年740円+税)

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