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2011年9月15日 (木)

橋本治『風雅の虎の巻』

橋本流日本文化論です。特に和歌の解釈が鋭すぎて怖いくらいです。俊成、定家、実朝についての解釈は、今まで何気なく読んでいた和歌の世界が突然人間ドラマとしてもつながって、感心させられました。

また、日本料理屋の仲居さんが、本質的には乳母であり、乳母にはちょっと不良っぽくわがままな、しかし育ちのいいお坊ちゃんが好まれることとか、宝塚の男役の話とかに話が展開していき、そこから定家の歌の話に戻ってくるなんて芸当は、著者にしかできません。

ただ、本書の後半は連想のスピードに言葉が追いついていかないくらい性急で、ほとんどメモ書きのようになっています。橋本ワールドもここまでパワー全開になると、凡人にはなかなかついて行けません。

とはいえ、最後のサラリーマン論などは、戦前の「サラリーマン」という言葉の軽さを教えてくれて、面白かったです。著者の論理自体は再現できないのですが、それはそれで直感的につかんでくれたらそれでいいと、著者自身が覚悟を決めているような独特の文体です。21世紀に入ってからかなり著者の文章も読みやすくなってきたような気がしますが、この頃は手加減なしです。

しかし、この文体、癖になります。

(講談社文庫1991年540円)

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