橘玲『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』
世界の残酷さが丹念に描かれています。自己啓発とかいっても本当に努力できる人はあまりいません。能力を開発してお金にしようというのは、成功すれば正論ですが、現実はそううまくは行きません。
だからといって、お金中心の世界で落ちこぼれてしまったら、死ぬしかないというのが残酷な世界の実情です。そのあたりの冷厳な事実を著者は、行動経済学や社会心理学の成果も参照しつつ、冷静すぎるほど冷静にに説いていて、お釣りが来るくらいです。これは人生でのっぴきならないところまで追い込まれた恐怖体験のある人にしか書けないかも、という気さえしました。
話は結局のところ、自分の好きなことをどのように仕事にしていくかという入り口のところで終わっていますので、そこから先はほかの本を読まなければなりませんが、それまでの準備としてそこはかとなく勇気がわいてくる本です。
世の中はひょっとしてとんでもなくろくでもないものですが、どんな人でも自分が生きていくくらいの余地と希望は見出せそう、という気がしてきます。こうやって書くとむしろ絶望に近いみたいですが、最悪のところから見るとささやかな希望でも大きな希望に感じられます。
私も自分の生き方についてはここいらへんでどうやら作戦を立て直さなければならなくなりそうですので、大変参考になります。
(幻冬舎2010年1417円)
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