ケビン・メア『決断できない日本』
「沖縄はゆすりの名人」と発言したとされて更迭された著者ですが「ゆすり」という言葉を知らなかったそうですね。まあ、見事に罠にはめられたというのが本当のところでしょう。わが国の弁護士や新聞記者の中にも目的のためなら手段を選ばない卑怯な輩がいるようで、妙に感心しました。まるでアメリカ映画の悪役みたいです。
こうして本人の言い分を読んでみると、アメリカの立場を理路整然とわかりやすく語ってくれます。沖縄の米軍基地はかねてから縮小の方向にあるのですから、基地反対派も感情的にならずに著者としっかり話し合う方が得策だと思います。何よりまずは相手の立場を知ることが交渉の第一歩だと思いますが、地元のマスコミは感情的な記事に終始するのがもはしきたりのようになっています。10年ほど前に沖縄を旅行したときも、言論がすべてこの調子なのに驚かされた記憶があります。
著者はラスト・サムライのようなナイス・ガイです。日本文化に惚れ込んで、博多の祇園山笠にも参加したりして、日本的な話し合いと決定の文化的伝統もよくご存知です。どんなに議論が白熱しても最後には長老(総務)が決定して、みんなが従うというのが「流」(ながれ)の流儀なのですが、この決定することを回避し、責任をとろうとしない現在のわが国の官僚・政治家たちを歯がゆく思っています。
それにしても貴重な人材を更迭させてしまったものです。
(文春新書2011年780円+税)
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