小宮一慶『なぜ、オンリーワンを目指してはいけないのか? うまくいっている会社の常識 うまくいかない会社の常識55』
身近なところを思い浮かべながら読んでみると、うまくいっている会社の常識に反しているものと、うまくいかない会社の常識にかなっているものばかりで、頭が痛くなってきました。あまりにもぴったりなところには付箋を貼ってみたら10箇所になりました。これはもう笑うしかないですね。
当然ながら、そんな会社は早めに処置をしないと危ないのですが、それぞれの場所でみんな一生懸命やっていて、自分だけはつゆほども悪いと思っていないのが現状です。しかし、この状態が一番危険で、みんな保身に走りながら完璧に錯覚している可能性があります。
今一番気になっているのは、「借り入れをして投資するなどの案件が出た場合で、その借り入れを行えば自己資本比率が基準以下になる場合には、役員は絶対に反対しなければならない」(うまくいっている会社の常識39、172-173頁)というとことです。こんなときに反対する役員がいないようなワンマン体質の会社だと、結果は火を見るより明らかです。せめて、自己資本比率を公開してから検討してほしいものです。
資本利益率(ROE)は負債の比率を高めるだけで改善してしまう(174ー176頁)という指摘も説得力があります。帳簿だけ見ている「穴熊」経営者はこの落とし穴に落ちることがしばしばだそうです。
また「売上高−経費=利益」と考えていないか? という問いかけ(178頁)にもどきっとさせられます。これは「必要利益額+最小経費=必要売上高」という積み上げで利益を出すように経営計画を立てるとうのが正解です。ああ、これもまずい。
という具合に一喜一憂というより次々と憂いを重ねながら読んでしまいました。経営の鉄則が実にわかりやすく述べてあるいい本だと思います。これを素直に受けとめることができる人は経営のセンスがあるのでしょうね。
著者が成功した経営者の特徴としてあげているのは、
1 せっかち
2 人を誉めるのがうまい
3 他人のことでも自分のことのように考えられる
4 恐いけど優しい
5 素直
1の「せっかち」以外は正反対なんて人ならたくさんいそうです。素直な人かどうかは人から批判されたときの態度で分かりますね。柔軟ということでもあります。やっぱ、なかなかいないですよね、そんな人。
(株式会社ディスカバー・トゥエンティワン2006年1360円税込)
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