菊地成孔+大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編』
いやー、これは滅法面白くて刺激的この上ない本です。東大でアルバート・アイラーが流れるなんて、私の講義でもオーネット・コールマン止まりなのに、脱帽です。菊地成孔氏はサックス奏者として超一流で、怪しいくらい美しいテナーサックスの音色が印象的です。
語り口もリラックスした感じで、きっと楽しい講義だったことだろうと思います。内容についてもいろいろ教えられるところがあり勉強になりました。比較文化論の講義でも早速使わせていただきます。
著者はジャズが単にジャズだけの歴史だけでなく、アメリカの1950年代から60年代にかけての世相と、ファンクやプレスリーやビートルズのような音楽との関係にも目を向けていて、本当にスリリングで面白いです。
理論面も半端でなく、バークレー・メソッドの音楽文化史的意義も本書で初めて教えられました。昔私自身これをふつうに演奏していましたが、こんな歴史的意味のあることとはつゆ知らず、著者よりも格段にうまくないサックスを吹いていたものです。なつかしい。
このほかの著者の本もこれから追々読んでいきたいと思います。というより、もうすでにやみつきになってしまったようです。本書に出て来る音源で聴いたことがないものもこれから徐々にフォローしていくつもりです。
(文春文庫2009年600円+税)

