高橋広次『環境倫理学入門 生命と環境のあいだ』
この分野は以前から奇妙な議論が横行する傾向があるので、私はどちらかというと敬遠してきました。植物の権利とか、その植物の後見人として裁判を闘うとか、理屈は分からなくもないけれど、ついついそのくだらなさに笑ってしまうからです。
しかし、真面目な著者はこの分野で丹念に議論をフォローし、争点を浮き彫りにしてくれていて、本当に助かります。ヘンな議論はヘンな議論として、「倫理の主体」と「生命の主体」を混同させるべきではない(146頁)として、しっかり言いたいことを言いつつ、この広大な分野の鳥瞰図を提供してくれています。
こういう仕事は基本的に趣味人の私にはどう転んでもできないことを痛感させられます。私の場合、議論がくだらないと「面白くない」の一言で片付けてしまいます。その点、著者には法学部の先生ならではの責任感もあるのかもしれません。もちろん責任感や使命感だけでなく、能力と情熱がないと始まらないわけで、いやー、ほんと、たいしたものです。
私も食わず嫌いを少しは反省しなければいけませんが、何よりそのための道案内として本書は役だってくれそうです。感謝しないではいられません。
(勁草書房2011年2,000円+税)
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