菊谷和宏『「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史』
かなりユニークな設定の社会思想史で、社会学史になっています。近代の「社会」についての意識がまずトクヴィルに生まれ、デュルケームが継承し、ベルクソンへと流れていく道筋をそれぞれの著作に基づきながらたどっています。
社会学史的に言うなら、オーギュスト・コントやハーバート・スペンサーが、ほとんどすっ飛ばされているのが驚きです。しかし、読んでいくとそれなりに著者の言いたいことはわかってきます。フランス革命やその後の社会的混乱の中で、3人の登場人物たちが、現実の問題と即かず離れずの距離をとりながら(ベルグソンは離れますが)理論を紡ぎ出していくところが描き出されています。
本書ではドレフュス事件など当時のフランス社会の状況がうまく書かれていて、そのあたりは勉強になりました。ただ、岩波の『思想』に載った学術論文がもとになっているので、あまり一般読者向けとは言えない本です。文体も気合いが入りすぎているところがあって、違和感があります。
それにしても何なんでしょうね、この違和感は。一昔前のアカデミックな文体ってこんなんだったでしょうか。最近あまりこういうのを読んでいないせいか、懐かしい感じもします。
(講談社2011年1500円税別)
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