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2011年12月18日 (日)

菊地成孔+大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・キーワード編』

『歴史編』が前期の講義で、本書『キーワード編』は後期の講義です。もぐりの学生もたくさんいて盛り上がっている教室の様子がよく伝わってきます。でも、本当はこれ録音ではなくて書かれているんですね。

本書ではジャズの楽理面と、ダンスの歴史との関係がより詳細に展開されています。中でもダンスという視点は新鮮で、改めて教えられることがたくさんありました。踊れる音楽なのかそうかということはあまり考えたことはありませんでしたが、ジャズがその発生時点ではダンスと密接な関係があったことは言われてみればその通りで、黒人のものすごく複雑なステップと躍動感を受け容れ、育むことができる音楽になるのにもさまざまな展開があったわけです。なるほど。

で、ビ・バップからモダンでは一転して踊れなくなるんですね。ただ、マイルスなんかはそのあたりを心得ていて、晩年の作品では聴衆が踊っていました(ブダペストでのコンサートのとき、ハンガリーの聴衆はみんな立って踊っていました。日本だとみんなまじめな学生みたいに座って聴いていましたが)。あれって、分かった上で創っていたんですね。さすがマイルス。

ってなことをいろいろ考えさせられる本で、聴きたいCDも増えるし、読みたい本もリストに加えなければならないし、本は付箋だらけになってしまいました。多彩なゲストスピーカーも面白い人ばかりで、全体にさすがエンターテイナーです。学生に楽しんでもらおうという姿勢が素晴らしい講義録でした。

(文春文庫2009年686円+税)

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