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2011年12月29日 (木)

橋本治『ちゃんと話すための敬語の本』

日本語の先生が大学進学先の決まった留学生に1月からの授業で敬語を教えるとのことで、本書に目を通してみました。そうしたら、本書は「正しい敬語の使いかたをするなんて、こんなにもへんだ」ということを教える本(70頁)でした。即効性はありませんが、敬語の背景や淵源を知るにはいいかもしれません。

生徒が先生に職員室に呼び出されたとき「お召しによりまして参上仕りましてございます」(38頁)と言うと、敬語としては最上級の表現で、間違っていませんが、使いかたとして「正しい」わけではありません。ギャグでなければ時代劇になってしまいます。

ところで、使いかたのマニュアルだと、なぜそう言うのかということはわかりませんが、敬語をさかのぼって聖徳太子の冠位十二階から説明してくれる本書は、正しい敬語の使いかたを考えるための貴重な手がかりを与えてくれます。

著者は敬語の用法が他者との距離を表すことをきっちり捉えているので、敬語が不要だとかなくなるだろうとかいっているわけではありません。敬語のことを自分で考えるということは、人間関係のあり方を体得するということにつながります。その意味で本書が年少者向けのプリマー新書として書き下ろされたのはいいことだと思います。でも、大人にも読んでほしい本です。

(ちくまプリマー新書680円+税)

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