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2011年12月 4日 (日)

中村雄二郎『テロは世界を変えたか』

昨日リアル書店を久々に訪れて、本書が2003年に出ていたことを知り、早速購入しました。「師匠お懐かしうございます」って感じです。久しぶりに大学の講義や大学院のゼミを思い出しました。

特に大学院のゼミではいろいろなことを何の遠慮もなく話されていたので、昔は文章から受ける印象とは違うなあと思っていましたが、こうしてあらためて読んでみると、本書なんかは文章でも言いたいことを言っていたのだなあとわかります。

本書の前半部が思想的自叙伝になっていて、個人的には懐かしく読むことができましたが、それだけにとどまらず、随所に鋭い指摘や問題提起があります。たとえば、

・「新しい哲学とか思想を生み出すというのは、単なる論理操作ではなく、〈新しい述語〉を生み出すことではないか」(27頁)
・イスラム教徒に改宗した唯物論者のロジェ・ガルディの「歩みのなかに、二十世紀の人間経験にとって貴重なものが含まれていることに気がつくようになった。〈思想〉とはなんなのか、〈イデオロギー〉とはなんなのか、西洋の人間あるいは人類にとって〈イスラム〉とはなんなのか、〈共同体〉と結びつかない魂(あるいは人間)の救済は不可能なのか、等々である」(168頁)

最後の共同体の問題は、今私も考えているところです。なーんだ、自分は相変わらず師匠の問題提起の中をぐるぐる回っているのかと、お釈迦様の手の中を飛んでいた孫悟空のような気分になります。

師匠の呪縛畏るべしですね。しかし、研究の道を見失わないでいられるのは本当にありがたいことです。

(青土社2003年1600円税別)

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