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2012年1月11日 (水)

アダム・スミス『国富論Ⅱ』大河内一男監訳

ようやく二巻目を読みました。やっぱり面白いです。筋金入りの自由主義者です。植民地支配のえげつなさもしっかり批判しています。

「愚劣と不正、これこそが、植民地支配の最初の計画を支配し指導した根本の動機であったようだ。すなわち、金銀の鉱山を漁り求めた愚劣がそれであり、また、ヨーロッパ人に危害を加えるどころか、最初の冒険者たちを親切に手厚く迎えた無辜の原住民の国土を貪婪にも領有しようとした不正義がそれである」(341頁)

という具合です。金銀の鉱山を漁るというのはまだかなり穏やかな表現で、ラス・カサスが記録した実態はほとんど狂気に近いものだったのですが、ともかくこのあたりが意外にもきっちりと書かれているのはちょっと驚きでした。

で、この地域が金銀がざくざく採れるような風評を流したのが、かのコロンブスだったことにも触れられていて(295-296頁)、あらためて彼のその場を取り繕う能力の高さと、そのことが与えたとんでもない影響に驚かされました。稀代の山師だったんですね。

本書では植民地支配が割に合わないことも経済学的に論証されていて、さすが、経済学の父といわれるだけのことはあります。マルクスなんかはこのアダム・スミスを標的にして呪い殺す勢いで著述に励んでいたのでしょう。これだけの仕事をされたら別のやり方で乗り越えなければ、と思ったかもしれません。もちろんマルクスが「参りました」なんて言うはずはなくて、ありったけの怨念を込めつつあの資本論を書き上げてしまったのですから、それはそれですごいですね。

(中公文庫1978年819円+税)

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