西加奈子『円卓』
主人公は小学3年生です。『漁港の肉子ちゃん』では小学5年生が主人公でしたが、これはもっと年少です。例によってませていますがやっぱり子どものところはしっかり残っていて、そこのところが本当にうまくとらえられています。で、やはり作品の中でしっかり成長するんですね。
著者が作品の登場物をいとおしんで、細部まで愛情を込めて書いていることがよくわかります。登場人物は多彩で個性的。いろいろと子どもの目から見て不思議なことがうまく書かれていて、自分もその年頃そんなことがあったなあと思い出されてきます。
今回の主人公とその家族は美形揃いですが、実際、絵に描いたように美形の一家っているんですよね。この家みたいに幸せとは限らなくて、美形がゆえのトラブルというか誘惑というか、男女関係がややこしくなることはしばしばあるようです。お金持ちの不幸と似ているかもしれません。
だからといって、美形でもなくお金持ちでもなければ幸福かといえば、もちろんそうではありませんし、人生いろいろです。結局は自分を知ることが一番難しいようで。
私の知る範囲では、美形家族は見ている限り仲がいい感じがしていましたが、この小説の家族も仲がいいので、やっぱりそうかも、と勝手に仮説を検証した気分になりました。
それにしても、本当に力のある作家ですね。読後感もとってもいいです。
(文芸春秋社2011年1238円+税)
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