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2012年2月 3日 (金)

マルクス/エンゲルス『新編輯版ドイツ・イデオロギー』廣松渉編訳、小林昌人補訳

マルクスが熱に浮かされるようにして書き飛ばした未完の遺稿を、エンゲルスが丹念に並べ替え手を入れていたらしい不思議な本です。どこをどのように手を入れたり書き込んだりしていたかということまで追跡して編集しなおしたのは、故廣松渉の大変な業績なのだそうです。

それはそれとして、やはり昔の版で読んだ時とは印象は違いますが、独特の口の悪さと預言者的な語り口は、マルクス本人に由来するようです。これにやられてしまうと、立派なマルキストになれるのでしょうけれど、私は昔から体質的についていけません。

後にヘーゲルを読むようになると、もっとぶっ飛んだ才能だったので、マルクスが正常に見えたくらいです。といっても、ヘーゲリアンにもなりませんでしたが。

今回アダム・スミスをそれなりに丹念に読んでから本書を読みかえすと、分業についての経済理論をマルクスもエンゲルスもまったく触れずに、もっぱら階級制度を固定させ、経済格差を生み出す原因としてしか捉えていなくて、ちょっとがっかりしました。マルクスの立場から言えることはありそうに思うのですが。

こうなったら、資本論に取り組むしかなさそうな気がします。ま、やってみますか。

(岩波文庫2002年840円+税)

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