カント『プロレゴメナ』篠田英雄訳
純粋理性批判を読んだあとで本書を読むと、わかりやすく感じますが、これを先に読むとやっぱりわかりにくいような気がします。大学院生の頃、仲間内で読書会をした記憶がありますが、これだけ読んでわかったような気がしていても、結局何も理解が定着しなかったようです。
それはともかく、本書は「ヒュームの警告こそ十数年前に初めて私を独断論の微睡から目覚めさせ、思弁哲学の領域における私の研究に、それまでとはまったく異なる方向を与えてくれた」(20頁)という箇所を引き合いに出すためだけに読まれる傾向があるような気もします。
確かに印象に残る表現ですし、ヒュームのカントへの影響を端的に表しているので、思想史家にとっては便利でしょう。ただ、やはり、純粋理性批判のあとの本ですので、少し別の角度から論じられていて、筆致も伸びやかで著者の余裕が感じられます。
カントは言いたいことをいろいろ言い換えながら、何度も確認して話を進めてくれるので、読者にとっては楽です。カントの語り口に慣れると、だんだん安心して読めるようになります。
実はまだ、判断力批判を読んでいないので、またそう遠くない将来に読んでみようと思っています。坂田徳男先生の翻訳もあることですし。
(岩波文庫1977年500円)
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