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2012年3月21日 (水)

小幡績『すべての経済はバブルに通じる』

教科書執筆のため再読。題名から直ちに内容がわかる本ですが、本の中ではもっとはっきり言っています。資本主義経済とはバブルなのです。もっといえば「ねずみ講」です。

「ねずみ講、これが、お金が増える理由であり、経済成長がプラスを持続するメカニズムであり、資本主義の本質なのです」(同書5-6頁)

最後に買った人は馬鹿を見ますね。実際、今日のマネー経済は実物経済の15〜20倍あると言いますから、もうそろそろ最後が近づいているんじゃないでしょうか。

しかし、騙されているのはわかっていても、次々と金融市場に人々が参入してくれるなら、自分だけは売り抜けられると思っている人もたくさんいるのでしょう。その点まさに「ねずみ講」ですね。

著者は21世紀の自己増殖する金融資本をキャンサーキャピタリズム(癌化した資本主義)と呼んでいます。今日これはすでに構造的に市場に組み込まれているため、これを除去することは不可能だといいます。言い得て妙です。

「自己増殖を止めない金融資本は、投資機会を自ら作る出すことを求める。その成功により、金融資本はさらに増殖するが、実体経済には過度の負担がかかり、金融資本に振り回されることになる。ここに、本来、実体経済の発展を支える存在であった金融資本が、自己増殖のために実体経済を利用するという主客逆転現象が起きる。そして、これが最終的には、実体経済を破壊し、金融資本自身をも破壊させる結果をもたらす」(同書224頁)

このままわれわれはどこまで行くのでしょうね。みんなが「やーめた」ということになると終わることですが、その後の世界の風景は一変するかもしれません。少なくとも人々はしばらくの間は憑き物が落ちたような顔になることでしょう。

(光文社新書2008年760円+税)


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