ヴェルナー・ゾンバルト『恋愛と贅沢と資本主義』金森誠也訳
ヴェーバーがプロテスタンティズムがきっかけとなって、しかし意図せざる結果として資本主義が誕生したという、風が吹けば桶屋が儲かるような話をしたのが、あの有名な『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1904−05)でしたが、どうも腑に落ちないという人は、本書を読むといいかもしれません。
ゾンバルトは、新興成金層が貴族に伝えた贅沢と、その贅沢奢侈にふける原動力となった、つまり情事の対象としての女性たちの存在に注目しています。貴族相手の高級娼婦から、成金層の愛妾、娼婦とだんだんと情事が世俗化していく中で、こうした女性たちが人びとを奢侈に走らせた原動力となった事例を丹念に調べています。
要するに、人びとのリビドーと贅沢奢侈こそが近代資本主義誕生の動因だと見ているわけです。ややこしいウェーバーの世俗内禁欲の論理とは対照的に、こうした露骨な欲望にも深甚な関心を払うところがゾンバルトの面白いところです。これはこれで物事の一面をとらえていると思います。
ちなみに、落語の三題噺のようなタイトルには「恋愛」とありますが、実際扱われているのは「情事」です。響きはもちろん「恋愛」の方がいいですけど。
ウェーバーを読むと、ついついあの難解な口調が伝染しそうになりますが、そうなってしまうとあまり感心できません。そんなときの解毒剤として、このゾンバルトの本をあわせて読んでおくといいと思います。
(講談社学術文庫2000年1050円税別)
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