片山ユキオ・東百道『花もて語れ』1〜4
朗読という地味な世界がこんなに面白い青春マンガになりました。びっくりです。朗読には独特の深さがあるとは思っていましたが、作品をどう解釈し、伝えるかという点をマンガというジャンルでここまで立体的に描けるとは驚きです。
実は、ハンガリーに留学していたとき、詩の朗読の全国コンクールを決勝まで見たことがあります。これが面白いんです。作品自体の素晴らしさと、それを選んで、読み込んで、効果的に伝えようとする朗読者の人となりまですべてひっくるめて感動的な世界が広がります。
毎晩のニュースが終わった7時55分くらいでしたか、役者が詩を朗読する番組もありました。今もあると思いますが、ホームステイ先の夫妻も毎晩これを楽しみにしていて、今日の朗読はまずまず、とかいまいちとか言いながら見ていました。
で、ときどき実に感動的なのがあるんですよね。目の前に作品世界が広々と開けるようなすごいのが。これは演劇のそれと近いものなのかもしれません。実際、かつての名優ラティノヴィチが詩を朗読すると、聴衆は感動でしばらく席を立てなかったと語り草になっています。
本書は主人公の女性が朗読の世界に入って、精神的にも徐々に成長を遂げていく物語になっています。朗読の場面の絵が創意工夫に満ちていて新鮮な驚きがあります。涙腺刺激ポイントもふんだんに用意されていて、しみじみとさせられたり、勇気づけられたりします。青春ものですから。
連休中にでも是非どうぞ。しかし、9月刊行予定の5巻が待ち遠しいです。
(小学館2010年〜2012年、543円〜590円+税)
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