小池和男『日本産業社会の「神話」』
一般に日本の会社の特徴と思われていることがらが、冷静に国際比較してみると、まったくそうでないどころか、正反対の方向に進んでいたりするんですね。実に勉強になります。本書によれば、
・日本は集団主義どころか激しい個人間競争にさらされて、個人がドライに頑張っている。
・日本人は欧米人ほど会社が好きではなくて、忠誠心も薄い。
・「年功賃金」と呼べるほどのものでもなく、査定による個人間格差も激しい。
・労働時間が多いというわけでもない。
・日本だけではなく、諸外国も結構企業別労働組合で、経営陣への発言が期待されている。
・欧米は一国の研究開発費の過半が政府資金だが、日本はその6分の1にすぎない。つまり、政府が力を入れたから技術的優位が保ててきたわけではない。(今後は国も力を入れるべき。)
といったことが、可能な限り実証的データに基づいて、極めて説得的に述べられます。会社経営に携わる人は必読でしょうね。組合活動のことも重要な指摘がなされています。今後の活動方針の参考にします。
わが国は世界の中で自分たちだけが特殊で、どうかするとそれだからこそ優れているとまで思い込みかねないのですが、その態度こそが井の中の蛙なんですね。一旦悪くなってくると神頼みの精神論になってしまいますが、ついに神風は吹いた試しがありません。
こんなときこそしっかり現状を見つめ、自分の頭で考える必要があるのですが、妄想の中で祈りはじめちゃうんですよね。ああ、これは旧日本軍の参謀本部ではないですか。小賢しい学校秀才だけを集めるからあんなことになるんです。
(日本経済新聞出版社2009年1,800円+税)
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