若森みどり『カール・ポランニー 市場社会・民主主義・人間の自由』
カール・ポランニーの仕事を著作に即して内在的に論じた良書です。ポランニーの著作をここまで丁寧に読み込んで全体像を明らかにしたのは、わが国はもとより、海外の研究書を含めても初めてで、貴重な試みだと思います。
わたしが気になったところはハンガリー語の固有名詞や地名の表記でした。「コロスヴァール」→「コロジュヴァール」、「サバドゴンドラ」→「サバドゴンドラト」、それから、クルージュ=ナポカはコロジュヴァールのルーマニア語で、トランシルヴァニアのそれではないこと、あと、フェレンツィはドイツから招かれた心理学者ではなくて、ハンガリー出身といったことくらいでしょうか。(20-21頁)
細かいことですが、第二刷から修正していただけると嬉しいです。
読解の内容としてはさすがです。ただ、ポランニーは他人から重要な影響を受けたことを隠す人なので、彼が書かなかったことを注意しておく必要があると思います。
本書ではマルクスの『経済学・哲学草稿』にポランニーが強く影響を受けたことが書かれていて、なるほどと思わされました。ただ、それだったらルカーチの疎外論がマルクス草稿発見によってその意義を確認されたという思想史的事実をふまえて、ルカーチとの交流と影響についても検証できるのではないかという気がしました。
今後そのあたりにも触れてもらうとありがたいです。それとも、ショムローの影響も含めて、私がやったほうがいいのかなあ。ルーマニアまで行って。
それはともかく、全体にいい研究書でした。著者とは面識がありますので、以上のことは直接お手紙書いておきます。
(NTT出版2011年4000円+税)
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