マルジャン・サトラピ『鶏のプラム煮』渋谷豊訳
人はみないろんな思いを心の奥底に秘めて人生の幕を下ろすことになるのでしょう。この漫画は著者の叔父で、イランの楽器タールの奏者だった人が主人公で、亡くなるまでの最後の日々の様々な彼の思いが描かれています。
奥さんに楽器を壊されて、気に入った楽器にも巡りあえず、亡くなった母親や死神と対話をしながら、昔の恋人のことを思いつつ死んでいきます。
と言うと、暗くてどうしようもない感じですが、決していやな話ではありません。自分もこんな思いを抱くことになるのかなあという気がするからです。あるいは、独特の画風と落ち着いた話の運びによるのかもしれません。実写版で映画化されたそうですので、観てみたいです。
(小学館集英社プロダクション、2012年、1,800円+税)
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