橘玲『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計入門』
年金や金融や税金について、よくまあここまで徹底的に調べたものだと感心させられます。私が苦手な分野だけに、勉強になりました。合法的な節税対策や、個人を法人化したときのメリット、あるいは海外投資など具体的にも参考になる知識ですが、実行するのは簡単ではなさそうです。
そう感じるのは自分がお金に縁が薄いからでもあるのですが、実際、税金を取られすぎて腹が立つほど儲けてみると、この知識は生きてくるのでしょうね。
中でも税務署の内幕については、蛇蝎のごとく嫌われる税務署員の大変さもわかって、面白かったです。税理士の中でも試験合格組が公認会計士のことをよく言わないわけもわかりました。以前そういう話を当事者の口から聞いて長年心に引っかかっていたのですが、公認会計士は税について大した知識がなくても税理士を兼務できるからなんですね。
税金を消費税一本にすると、申告と納税の手間も省けてシンプルになり、いいんじゃないかとは誰でも考えることでしょうけれど、著者はその可能性はないと断言します。「そんなことになれば、税務行政に携わる多くの官僚が職と既得権を奪われるから」(217頁)だそうです。そうでしょうね。
著者は、赤字国債に頼るわが国の財政状況について、こう述べています。
「いずれにせよ、大きな借金を抱えた日本の将来には、いつの日かはわかりませんが、増税か、インフレか、あるいはその両方がやってくることになります。為替は円安になり、金利は上昇に向かうでしょう。その衝撃を、はたして日本経済は受け止めることができるでしょうか?」(247頁)
本書は10年前の本ですが、財政状況は当時よりさらに悪化し、いよいよその可能性が高まってきています。外貨預金くらいはしておいた方がいいのかもしれませんね。しかし、どこの外貨を買うかがまた問題です。それより問題はその資金がないことですが。仕事だっているまであるかという感じですからねえ。
(幻冬舎2002年1600円+税)
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