三浦しをん『木暮荘物語』
今にも倒れそうな木造のおんぼろアパート「木暮荘」の住人や周囲の人びとをめぐる物語です。恋愛というより、性愛がテーマになっている短編連作です。それぞれの登場人物が重なって、バラエティに富んだ物語が交錯しながら展開するのは上手いなあと思います。
ただ、私は性がテーマになると苦手です。昨日読んだ西加奈子の小説にも性の話は出てきますが、全体がすごみのあるリアルな話なので、そういう場合は気になりません。しかし、この作品の場合、何か違和感というか、引っかかりを覚えます。登場人物の中の並木君の行動にとりわけ嫌悪感を覚えました。
そういえば、奥田英朗の『ララピポ』なんかも気にならなかったので、やはり、作家の性に対する感覚との相性の問題かも知れません。ましてやこの作品のように正面から性をとりあげるのはなおさら大変だと思います。
結局リアリティの問題なのかも知れませんが、この種のことが気にならない人にとっては、よくできたエンターテインメントとして読めると思います。登場人物の女子大生が、友人が産んだばかりの赤ん坊を1週間世話する話は結構泣かせてくれます。
(祥伝社平成22年1,500円+税)
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