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2012年5月11日 (金)

米原万里『旅行者の朝食』

「旅行者の朝食」というのは旧ソ連のひどく不味い缶詰のことだったんですね。美食家で健啖家だった著者の抱腹絶倒食物エッセーです。饅頭75個をペロリと平らげた胃袋の持ち主だったお父さんの遺伝子を受けついでいたのでしょうね。ご本人も同じものを23個食べたそうですから、やはりすごいです。

古今東西の食物にまつわる蘊蓄も大変なもので、中でも、ウォトカのアルコール度数は40度がベストだというのは覚えておきたいと思います。それにしても話題の豊富さは「忙しくて毎日7冊しか本が読めない」とぼやいていた人だけのことはあります。毎日すごい勢いで食べて読んで書いていたんでしょうね。

本書中の「トルコの蜜飴」すなわちTURKISH DELIGHTですが、いかにも美味しそうなお菓子です。一度食べた味が忘れられず、著者はそのお菓子のルーツを求めながら分布圏を確定していきます。

これはイランが発祥の地と推定され、中央アジア、近東、バルカン半島で食されているお菓子とのことで、本書には出てきませんでしたが、ルイスの『ナルニア国ものがたり』の「ライオンと魔女」の巻の中で次男のエドマンドが魔女から振る舞われたお菓子でもあります。

ルイスもいろいろと調べて書いたのでしょうね。ライオンのアスランもペルシャ語からとったはずですし。それにしても、こんなところでつながりがあるとは思いませんでした。

巻末の東海林さだおの解説も秀逸でした。東海林さだおの『タクアンのまるかじり』も読みたくなりました。著者の『ロシアは今日も荒れ模様』の次にスタンバイさせておきます。

(文春文庫2004年467円+税)

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