橘玲『亜玖夢博士のマインドサイエンス入門』
『経済入門』を受けて、物語はもっと勢いがついてきて、どうやって収拾をつけるのか、はらはらどきどきの展開でした。思わず電車を乗り過ごして二つ先の駅まで行ってしまいました。
本書を読んでしばらくしてからタイトルを「マッドサイエンス」と勘違いしていたことに気がつきましたが、マインドサイエンスがマッドサイエンティストによって、とんでもなく危険な利用をされる場合がありうるということも本書のテーマではあったのでした。
マインドサイエンスというのは本書では認知心理学、進化心理学、超心理学、洗脳、人工生命といった科学の総称ですが、登場人物たちも人格販売会社を進化させて「亜玖夢真理教」なる宗教組織を作るにいたります。
著者によれば本書に登場する「不思議な話の数々はたんなる著者の思いつきではなく、急速に進歩する脳科学や分子生物学、情報科学・工学が実現もしくは実現可能にしたものばかりである」(316頁)とのことです。実際、巻末にそれぞれの章の参考文献が合計40冊ほど挙げられています。
われわれはおそるべき時代を生きているんだなあと、あらためて実感させられる本です。
(文藝春秋2010年1600円+税)
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