三浦しをん『舟を編む』
いい小説です。おすすめです。
タイトルは、国語辞典を言語という大海を渡る舟にたとえて「舟を編む」というわけです。
『大渡海』という国語辞典を15年がかりで完成させる編集者たちの群像が見事に描かれています。
物語の展開もうまくて、涙腺刺激ポイントも何箇所かあります。いつもの「しをんワールド」ですが、この作品では辞書が完成するまでに15年の時間がたつところが、うまく物語に活かされています。
著者は、できすぎた話になるスレスレのところで作品にリアリティを持たせるのが本当にうまいですね。登場人物のキャラクターもはっきりしていて、どこか安心して読むことができます。
本書の帯とカバーを取った本体の装丁に漫画がそれぞれの印象的なシーンのコマ割りのようにして描かれていて、作品世界をもう一度楽しめるようになっています。本書を作った人たちの気持ちも伝わってきます。
辞書づくりという地味な世界がこんなにいい話になるとは思いませんでした。「本屋大賞」第一位というのも納得できます。
(光文社2011年1,500円+税)
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