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2012年6月 8日 (金)

ニーアル・ファーガソン『マネーの進化史』仙名紀訳

100ドル持っている銀行が、中央銀行に10%すなわち10ドルだけ預けて、残りの90ドルを他行に貸し、その90ドルを借りた銀行が10%の9ドルを中央銀行に預けて、また別の銀行に80ドル貸すと、100ドルのお金は3つの銀行を経由しているうちに、通貨供給量が271ドルになります。

これが、部分準備銀行制度がマネーを生み出す単純な図式ですが、アメリカのビジネススクールのMBAコースでは、それぞれの銀行の役割を学生に体験させて、信用がマネーを生み出す仕組みを体得させるそうです。

取り次ぎ騒ぎが起きたら、準備金が10%しかない銀行はひとたまりもないわけです。しかし、信用しすぎてお金がどんどん増殖しても、ある日突然、お金は紙くず同様になる可能性もあるわけで、そうした信と不信の間を行ったり来たりしながら、人びとの経済活動は行われています。

ことほどさように、金融の力畏るべしなのですが、本書はそうした金融と経済の歴史を見事にとらえています。そして、人びとがその歴史に学ぶことなく、狂乱と絶望を繰り返していることも、これまたよくわかります。

印象深いエピソード満載ですが、特にジョン・ローのペテン師ぶりには脱帽です。種村季弘『ぺてん師列伝』でもとりあげられていましたが、ジョン・ローのはちゃめちゃぶりがフランス革命の遠因にもなったことが指摘されていて、これは新たに教えられました。

それにしても、今の世界のマネー経済の行方は、一体どうなるんでしょう。世界はもちろん、わが国も相変わらず芳しくないですし、どうなることやら、ですね、まったく。

(早川書房2009年2700円+税)

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