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2012年6月16日 (土)

曽野綾子『人間の基本』

著者もいつの間にか八十歳を過ぎていたんですね。今もアフリカに出かけて行く気力と体力には敬服します。様々なボランティア経験の中で著者が出会った人々についての話は特に印象に残りました。

韓国ですでに治癒したライ患者のための「聖ラザロ村」を作っている李神父や、インドのヴァナラシのインド人神父さん、チリの修道会の文字どおり献身的な修道女たちなどの感動的な言動の数々が、本書を読んだ後からじわじわと効いてくる気がします。

著者の政治的なスタンスに異論のある人も、この貴重な話については聞き逃す手はないと思います。

「多くの人間は凡庸で、神でも悪魔でもありませんから、・・・ルールの中には収まらない優しさ、恐ろしさ、面白さを抱えた存在であることを見きわめる感受性と勇気が必要です」(77ー78頁)

この最後の「勇気」という言葉がいいですね。今日の日本人に足りないものではないかと、特に自分の身の回りを見ていて痛感します。もちろん自戒の念も込めてですが。

(新潮新書2012年680円税別)

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