上橋菜穂子『狐笛のかなた』
いやー、これもスリリングでドキドキさせられる小説でした。異界とつながる著者独特の物語世界が十分に堪能できます。日本の民俗学的素材もうまく活かされています。
若い読者を想定したファンタジー小説ということもあるのでしょうけれど、血にまみれたおっかない権力闘争をを下品にならずに美しく描けるところがすごいです。
内容に触れるとネタバレになるので、控えますが、宮部みゆきの解説の言葉に、
「本書は『物語なんて、みんな都合のいい作り話じゃないか!」と考えている子供たちのための物語です」(382頁)
とありますが、そうなんです。ありえるかもしれない話を、驚くべきリアリティをもって描き出すという魔法の世界なのです。おそるべし上原ワールドです。
文庫版で読みましたが、挿絵のついている単行本も欲しくなってしまいました。
(新潮文庫平成18年590円税別)
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