群ようこ『ヒヨコの蠅叩き』
著者の本で、古本屋で未読のものを見つけると、すぐに買ってしまいます。読むといつもそこはかとなく元気になってきます。
内容は1999年に書かれたもので、著者が45歳の頃です。昔、『ノストラダムスの大予言』がベストセラーになった頃、著者は高校生か大学1年生くらいの年だったそうで、そのころ、
「四十五歳か。相当なばばあだな。もうその年齢になったら、やりたいこともみーんなやってしまっただろうから、人類が滅亡してもいいや」
と思っていたそうですが、
「ところがいざ自分がその年齢になると、やりたいことなど何もやっていないことがわかって、こっちのほうが人類の滅亡よりも恐ろしいくらいである」(241頁)
とあります。若い頃はたしかに45歳なんて人生の終幕に近いところに立っている立派な大人という感じがしましたが、自分がそうなってみると、中身はなんでもないし、ろくでもないガキのまんまでした。まったくほめられたもんじゃない。
私はノストラダムスの大予言で世界が滅亡するなんて騒がれていた頃、小学校6年だったのですが、やはり著者と似たようなことを感じていました。ただ、なぜか「そのときに備えて体を鍛えておこう」なんて考えていた覚えがあります。地球が滅亡するならどうあっても生き残れないのにねえ。
著者のエッセーはいつもほぼリアルタイムで読んでいて、自分よりも数年年上の女性の書いたものという印象があったので、こうして古本で読むと、少し違った感じがします。45歳なんて若い、と思ったりする自分自身が50を過ぎたおっさんですからね。
エッセーの中で二人で十数人の不良をボコボコにした中年オヤジの話とか、著者がエロ話をしてくるタクシー運転手に二の句が継げない様な言葉で逆襲するところとか、痛快で笑える話が満載です。
著者の友人が、著者を評して、「中身は狼」と言っているわけが少しわかる気がします。そこが滅法面白いんですけどね。
(文春文庫2002年448円+税)
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