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2012年7月10日 (火)

山岸俊男『「しがらみ」を科学する 高校生からの社会心理学入門』

ちくまプリマー新書は高校生ぐらいの若者を対象にしていますが、大人でも特に気にせず読めると思います。少なくとも橋本治や内田樹の本がそうでしたが、本書もまたそうです。

とりあえずこれから社会に出ていくことになる高校生向けに語られてはいますが、実は高校というか、学校がすでに社会だという見方を示しながら、個人の心性だけからは解明できない人間の集団性、社会性について、優しく説明してくれます。いい先生ですね。

様々な人間関係の「しがらみ」や思い込みが「自分は自由だ」と思っている人びとを気がつかないままに縛っている状況もよくわかります。

著者は阿部謹也などの議論を受けて息苦しい「世間」から抜けて「社会」をつくり、そこで生きることを提唱します。

「世間をうまく生きられないなら、社会で生きるようにすればいい」(185頁)

「世間で生きるのが苦手で、まわりの人たちの気持ちにうまく自動的に反応することができないなら、そんなことはあきらめて理論を使えばいい。社会をちゃんと理論的に理解して、そこで働いている原理を使って、『社会』で自分がどうしたらいいのかを考えるって手です」(184頁)

引きこもりがちな若者だけでなく、しがらみだけにとらわれて現状を変えようとしない大人たちにも、ぜひとも味わってほしい言葉です。

(ちくまプリマー新書2011年780円+税)

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