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2012年8月20日 (月)

米原万里『ロシアは今日も荒れ模様』

ペレストロイカから体制転換までのソ連・ロシアの様子がよくわかります。エピソードや小咄がたくさん紹介されていて、抱腹絶倒の本です。

この頃私はハンガリーに留学していたので、ソ連の話はいろいろと伝わってはきていましたが、たとえば炭鉱労働者に石鹸が月1個しか支給されない、なんてのは冗談ではなくて本当の話だったんですね。

当時のハンガリーもそうだったあの社会主義体制の親玉がソ連でしたので、国境の向こう側も同じようなものか、あるいはもっと不合理があるという感じがしていました。本書を読むと「やっぱりそうだったのか」と確認できるところが多々あります。

でもまあ、体制の不合理はともかくとして、ハンガリー人よりもロシア人の方がアルコールの消費量にかけてはもう理不尽に凄い感じですね。飲み過ぎで平均寿命を下げているのもうなずけます。

本書に出てくるウォトカについての小咄もいろいろと面白いです。

「父ちゃん、酔っぱらうってどんなことなの?」
「ここにグラスが二つあるだろう。これが四つに見えだしたら、酔っぱらったってことだ」
「父ちゃん、そこにはグラスは一つしかないよ」(54-55頁)

酔っ払いの亭主を見かねた妻が詰め寄った。
「あんた、ウォトカをとるの、わたしをとるの? ハッキリしてちょうだい」
「その場合のウォトカは何本かね?」(59頁)

こんな国で節酒令を出していたのですから、どだい無理な話でした。

この当時の政治の主役、ゴルバチョフとエリツィンの人物評やエピソードも興味深かったです。何せ二人の通訳としてとことんつきあわれた著者だけのことはあります。楽しいのはもちろんですが、いろいろなことを教えられる本です。現代史の資料としても貴重だと思います。

(講談社文庫2001年495円税別)


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