トクヴィル『アメリカのデモクラシー第二巻(上)』松本礼二訳
第一巻と同様、トクヴィルは、アメリカ人の行動パターンをフランスのそれと比較しながら鋭い考察を披露しています。その観察力と感性の鋭さには驚かされます。
ただ、論じ方は結構単調なところがあって、鋭いことは鋭いのですけれど、続けて読むと単調で、論理の展開はお世辞にも上手いとはいえません。むしろ、アフォリズム集として読まれるのが相応しいスタイルなのかもしれません。モンテーニュやパスカルの国だからでしょうか。
たとえば、
「彼ら[アメリカ人]は実生活で出会う小さな困難をことごとく人の授けを借りずに解決しているので、そこから容易に、世界のすべては説明可能であり、知性の限界を超えるものはなにもないと結論することになる」(19頁)
「境遇の恒常的な不平等は、抽象的真理を求める誇り高くはあるが実り少ない研究に人を閉じこもらせ、それに対して、民主的な社会状態と諸制度は、学問に直接役立つ応用だけを求める態度に人を向かわせるのである」(86頁)
こういった箴言が散りばめられているのですが、その前後が必ずしもきっちりと論理的に展開されているわけではないので、どうかすると眠たくなってきます。で、ときどき鋭い表現に当たると、目が覚めるという感じです。
それでも、後から鋭い表現だけをまとめて読むと、ほーっと思うので、やはりこれはこれで独特の名著なのだろうと思います。
(岩波文庫2008年780円+税)
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