藤原正彦『心は孤独な数学者』
「美の存在しない土地には天才は、特に数学の天才は生まれません」という著者の言葉が心に残っていて、出典を確認しようとして、本書を結局再読してしまいました。セリフは載っていませんでしたが、何度読んでもいい本ですね。
著者は言います。
「純粋数学というのは、種々の学問のうちでも、最も美意識を必要とするものと思う。実社会や自然界からかけ離れているため、研究の動機、方向、対象などを決めるガイドラインが、美的感覚以外にないからである。論理的思考も、証明を組み立てる段階で必要となるが、要所では美感や調和感が主役である」(214頁)
著者はニュートンやハミルトン、そしてラマヌジャンといった天才数学者たちの故郷を訪ねて、その美意識の源泉を探ります。それなら、冒頭のセリフは当然本書にあるだろうと思っていたのですが、ありませんでした。
そこで書棚にある著者の本をすべてひっくり返して調べてみたら、なんと『国家の品格』の165頁に載っていました。まあ、見つかってよかったです。
なんでこのセリフの出典を調べていたかというと、近代ハンガリーから科学的発見や発明品が山ほど出てくる理由を探る文章を書いているからなのでした。これで、最後にハンガリーの美しい風景を引き合いに出しながら、文章を締めくくることができそうです。
(新潮文庫平成13年438円税別)
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