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2012年9月25日 (火)

山下祐介『限界集落の真実―過疎の村は消えるか?』

限界集落とはお年寄りの数が人口の過半を超えた集落のことを言いますが、かつてマスコミでセンセーショナルに騒がれたにもかかわらず、少なくとも今は消えていません。人口が自然減によって消滅した集落というのは実はないということも、本書に教えられたことです。

もちろんこれから現在元気に暮らしている70代〜80代のお年寄りが、徐々に亡くなっていき、息子や孫もそこを活用しなければ、本当に消滅することになるでしょう。新しいムラの形をどう設計するかということは、その点で今まさに正念場を迎えています。

著者は限界集落と言われる多くのムラに実際に足を運び、目で確かめ、ムラの将来像を予見します。社会学者の正攻法によるアプローチが見事です。また、世代論と家族論の視点から戦後日本の社会変化を捉えた第五章も鮮やかな描写です。

文章も学者臭くなく、かといって、くだけすぎたりもせず、新書にふさわしい読みやすさです。この問題にあまり関心がないという人も、本書をよく読むと、共同社会の特性を失ったのは実は都会のほうだという見方が示されていて、今後の日本社会のあり方を総合的に検討する上で、きっと得られることがあると思います。お勧めです。

(筑摩書房2012年880円+税)

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