« 榊博文『日本人は何故大人しい ―「陰陽」で読み解く「日本人」―』 | トップページ | 栗田和則・栗田キエ子・内山節・三宅岳『十三戸のムラ輝く 山形県金山町杉沢集落』 »

2012年9月22日 (土)

WISDOM@早稲田『大学は「プロジェクト」でこんなに変わる』

職員の働き方次第で大学がよくも悪くもなることを教えてくれる本です。本書はよくなる方の例ですが、悪くなる例としてはおそらく全国のほとんどの大学がリストアップされそうです。

それにしても、早稲田の職員たちは頑張っていますね。学部や部署を横断するプロジェクトチームを作って稼働させるだけならどこもやっていますが、たいていはいらない会議が増えるのがオチですが、ここの職員は常に社会への貢献を意識しながら、楽しく仕事をできるように工夫を重ね、実践してこられたようです。まるで「楽しくなければ仕事じゃない」とでも言わんばかりの勢いが感じられます。

もちろん最初は教務システム一つをとっても手動の時代から、学部ごとに変貌を遂げた複雑怪奇な体制になっていたのを、IT化して全学部に共通なかたちを導入するのに10年かかったそうですから、ほんとうに大変だったんだなあと思われます。

しかし、それがいつの間にかe-ラーニングシステムの導入などについては日本一優れたシステムとコンテンツを提供するまでになっています。先生方の気持ちもうまく汲み取って、実にいい協力関係が作り上げられたのだろうと想像します。

印象に残ったのは次のようなセリフでした。

「職員の側にも教育・研究への深い共感が伴わなければなりません」(9頁)

しばしばお互いに憎みあったりしそうになる大学内部の職員と教員の関係ですが、こういう視点で考えてくれると、確かにお互いに歩み寄る第一歩になるはずです。

また学生に対しては、「学生を『管理』の対象と捉え、規則どおりにしか対応しない」(11-12頁)態度を強く戒めています。とんでもない態度の職員って確かにいますが、これは教員にも当てはまります。気をつけなくては。

多くの職員の寄稿からなる本でもありますが、職員が学生とよく話をしていることがうかがわれました。私も自分の大学院時代の事務の方々を思い出しました。

私が出た大学院の事務は当時は実にアットホームなところで、お酒を振舞われたり、いろんな話をしてもらったりしました。自分の結婚式にもお世話になった方に出席していただいたりしました。懐かしい思い出です。

やっぱ、何につけても多くの人と話をして、現場の声を拾うことが基本ですね。

(東洋経済新報社2008年1800円+税)

|

« 榊博文『日本人は何故大人しい ―「陰陽」で読み解く「日本人」―』 | トップページ | 栗田和則・栗田キエ子・内山節・三宅岳『十三戸のムラ輝く 山形県金山町杉沢集落』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。