Kertész Imre: Sorstalanság - filmforgatókönyv
(Magvető 2001, 1790Ft)
(Magvető 2001, 1790Ft)
そういう人、多いですね。いやになるくらいたくさんいます。自分の想像と現実が違ったとき、現実をねじ曲げようとするのは、イソップ童話の「酸っぱいブドウ」でおなじみですが、自分可愛さのためだけに、眼の前にあるブドウそのものさえ存在しないことにしてしまうのが、人間の愚かなところです。
幼いときに両親が離婚し、その後新しい母と姉ができ、なんだか妙な家族を作りながら少しずつ大人になっていく中学3年生ヒガシくんの日常が描かれます。
身長170センチ、45歳、独身の玩具会社課長が主人公です。会社のアホな同僚や上司たちと闘いながら、やりたい仕事をやっていく姿は爽快です。
議論の正確さと目配りの良さに感心させられっぱなしの本でした。法理学(法哲学)の教科書として理想的です。
長い時間かかってようやく下巻まで読み終えました。みっちり書き込まれて読み応えのあるマイルス研究でした。他の音楽ジャンルやファッションのような異分野との関わりマイルスを論じるという方法が新鮮で、こうやって論じられてみると、見事な説得力があります。
タイトル通りのメッセージですが、決してあえて逆説を唱えるキワモノ本ではなくて、きっちりとした根拠に基づく主張です。はたして読んでみると、説得力抜群でした。
週刊新潮でいつも著者の連載コラムだけ立ち読みしているので、その罪滅ぼしに、新刊が出ると買うようにしています。しかし、まとめて読むと改めて驚かされることが多々あります。
すごい小説です。主人公をはじめ一風変わった登場人物たちがつくり上げる物語世界の鮮烈な印象と、爽快な読後感というのは、ちょっと言葉になりません。
いつも思いますが、こんな微妙な事柄や意外な材料から見事な小説世界が紡ぎだされてくるんですね。ふくわらいと作家と編集者と冒険と人肉食と雨乞いとプロレスと白杖って、既視感がまったくない世界なのですが、これがなんとも恐るべきリアリティーに満ちています。言葉の力はすごいとあらためて感じさせられます。
こんな作家はなかなかいません。いつも驚かされますし、次の作品も楽しみです。
(朝日新聞出版2012年1500円+税)