菊地成孔+大谷能生『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究』(下)
長い時間かかってようやく下巻まで読み終えました。みっちり書き込まれて読み応えのあるマイルス研究でした。他の音楽ジャンルやファッションのような異分野との関わりマイルスを論じるという方法が新鮮で、こうやって論じられてみると、見事な説得力があります。
個人的にはマイルスの晩年に日本とブダペストでそれぞれ公演を聴いたことがあるのですが、日本で不愉快そうにしていたマイルスが、ブダペストでは踊りまくる観客を前にめっちゃごきげんだったのが印象的でした。
そのあたりの事情も本書を読むことで、手に取るようにわかります。なるほどそういうことだったのですね。観客には深刻な顔をして聴いてもらうのではなくて、踊ってもらうほうが嬉しかったのでしょう。日本の聴衆は真面目すぎかも。
個人的には、まだ聴いていない晩年のアルバムもこれから本書を手引きとして、少しずつコレクションに加えていくつもりです。
それから、著者たちの東大ジャズ講義シリーズは、今後は必読文献として学生たちにも紹介していきたいと思います。
(河出文庫2011年1400円+税)
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