田中成明『現代法理学』
議論の正確さと目配りの良さに感心させられっぱなしの本でした。法理学(法哲学)の教科書として理想的です。
前著『法理学講義』が大幅に書き改められたとのことですが、議論がより精密に展開されているのはさすがです。同じ著者ですから、思想の展開には既視感はありますが、更に広く関連書学問に目配りがなされていて、大学を退職されても知識欲が衰えていないところは、わが国の学者には珍しいタイプではないでしょうか。
法理学や法哲学は法科大学院でも講座が開かれていて、カリキュラム上でも重要な位置づけがなされていますが、こういう本を読んでおくと、法解釈学や実務においても将来どこかで役に立つような気がします。
著者の「対話的合理性」を柱にした思想的立場は大変納得の行くもので、法哲学の主流となるべき立場だろうと思いますが、この対話的合理性をもっと哲学的に突き詰めた議論も読んでみたい気がします。とりあげる話題ももっと一般的なもので、いわゆる哲学書として展開してもらえると、一読者としては嬉しいですが、ご本人はかなりそのあたりではストイックな感じもしますので、無理かもしれませんね。
(有斐閣2011年4,400円+税)
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