群ようこ『ヒガシくんのタタカイ』
幼いときに両親が離婚し、その後新しい母と姉ができ、なんだか妙な家族を作りながら少しずつ大人になっていく中学3年生ヒガシくんの日常が描かれます。
ヒガシくんはジャニーズ系の美少年なので、女子生徒にもモテます。幼稚園からのエスカレーター式の学校に行っているので、のんびりと優しい性格に育っています。
心を許せる友人のクラタくんは小学生の時はデブだったのに、中学に入ると格闘技と筋トレに燃え、どんどんマッチョになっていきますが、ヒガシくんは何をやりたいわけでもなく、好きなサッカーも観戦する方に回って、部屋で飼い犬と一緒にゴロゴロしています。
この年頃の中学生や高校生たちの様子が、作者はどこで見てきたんだか、非常にリアルに描かれます。新しい母や姉の様子はもちろん、例えば、口ひげをうっすら生やして鼻毛が見え隠れするおばさんとか、どうでもいいような人についても人物描写が見事です。作者は日頃からとことん人間観察してるんでしょうね。
ヒガシくんを捨てた実の母親もこっそり会いに来たりして、平穏無事そうな人生も結構波乱があります。こんなふうに何気ないようでいて面白い小説って書けるんだなあと、感心させられます。
私は個人的にはクラタくんのような自己鍛錬系に親近感を覚えます。友だちとして結構頼れるいいやつです。自分自身、ジャニーズ系ではないですしねえ。
(角川書店ハルキ文庫2002年495円+税)
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