« 西加奈子『ふくわらい』 | トップページ | 浅川芳裕『TPPで日本は世界一の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代』 »

2012年10月 3日 (水)

髙山正之『変見自在 日本よ、カダフィ大佐に学べ』

週刊新潮でいつも著者の連載コラムだけ立ち読みしているので、その罪滅ぼしに、新刊が出ると買うようにしています。しかし、まとめて読むと改めて驚かされることが多々あります。

著者の書くものは、海外のニュースを正確にフォローして、きっちりと歴史的に理解しているところが、他の評論家たちと違うところで、これは語学力と情報処理能力が並外れているか、他のエラソーな評論家が実は勉強不足なのかのいずれか、あるいは、そのいずれもなのでしょう。
なにせ、複雑怪奇な国際情勢や歴史が数行でたちまちのうちにわかるんです。シーア派とスンニー派の違いなんて、そのへんの専門家よりも端的にわかりやすく語ってくれます。
で、いつも、へぇーっと感心させられるのが客観的な事実の指摘です。アメリカ上院公聴会記録などから正確な数字を上げてこられると、イデオロギー的な立場のいかんにかかわらず、まずは認めざるを得ません。
フィリピンのサマール島で米軍の小隊が襲われて30人が殺されると、米軍は報復にその島と隣のレイテ島の島民数万人を皆殺しにしました。
「米軍に抵抗する者はゲリラとみなし、その家族も協力者として殺された。米軍は4年間で20万人を殺したと米上院公聴会に報告している」(31頁)。
また「ペリーは浦賀に来る前に那覇を占領し、艦隊基地にして小笠原諸島を測量に行き、米国領を宣した」(42頁)というのも、本書で初めて知りました。その当時日本も清も異議申し立てなんかしなかったんでしょうね。できなかったでしょうけれど。アメリカが沖縄にこだわり続けるのにも理由があったんですね。ハワイみたいに取れると思ってたんだ。
また、アメリカでは18世紀まで魔女狩りをやっていた(92頁)とか、国営中央電視台(CCTV)の東京支局はNHK社屋の中にあり、寄宿するスペースからスタッフの面倒までNHKがみな負担している(95頁)とか、語学屋に過ぎない明石康のとんまで下品なコメントの紹介など、まー、いろいろ驚かされます。面白かったです。
(新潮社2012年1400円税別)

|

« 西加奈子『ふくわらい』 | トップページ | 浅川芳裕『TPPで日本は世界一の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。